2013年8月30日金曜日

IT資産価値の多面的な評価の枠組み

河田です。
最近は実務者に役立つ情報よりも活動報告的な話が多いような気もしますが、今月上旬に浜名湖フォーラム(通称:カリアック会議)に参加しましたので、今回はそこで発表したIT資産の価値についての話を少しご紹介します。

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カリアック会議については、昨年9月にもこのBlog上で紹介していますが
  • 経営情報学会の「中小企業のIT経営研究部会」
  • 武蔵大学の「松島教授オープンゼミ」
  • ITコーディネータ協会の「IT経営研究所」
3者合同の研究合宿で、様々な分野の専門家、有識者、経営者の方々が集まり、肩書きや立場に関係なく議論するというオープンな形式のフォーラムでもあります。

浜名湖畔のカリアック(商工会議所研修センター)で開催されてきたこと、また「IT業界のダボス会議を目指す!」という高い志から命名されたとも言われています。

私は、今年度から新たに取り組んでいるIT資産価値研究会のメンバーの一人として、「IT資産価値の多面的な評価の枠組み」について、発表しました。



昨年度の発表「ソフトウェア資産管理とIT投資マネジメントの関係性」の発展形の話ですが、今回は4人のコンサルタントによる連携プレゼンの一部として「評価の枠組み」というテーマで、下記の3点をキーメッセージとしてお話しています。
  • IT資産価値評価の悩ましさ、難しさを考えると、企業実務で評価・活用するためには、いくつかのバリエーション検討が必要であること
  • 資産価値の評価に際しては、改めて「誰のため?」、「何のため?」から評価の視点/方法を考えることが必要であること
  • 具体的には、IFRS的な視点、事業価値の視点、IT全体ポートフォリオの視点の他に、「知的財産の価値評価」、「企業独自のスコアリング評価」、「システムマップ活用評価」のアプローチが考えられること
私が発表を通して伝えたかった一番のポイントは、
IT資産の価値評価は極めて難しい/悩ましいテーマではあるけれど・・・
稼働するシステムをIT資産として管理することは、「該当システムへのIT投資とその結果もたらされる価値について継続的に向き合う機会」になり得る
という点です。

まだまだ研究途上ですが、IT資産価値の測定方法は、全ての企業で一律であるべきではなく、また目的に応じた使い分けも必要であることを納得感を持って整理できたら良いな・・・と考えています。

システムの価値は、会計的には減価償却的な側面しか認められていませんが、実際には多元的な価値の側面があり、事業に占めるIT投資の割合(IT資産の比率≒業種業態)、ITコストの管理箇所(IT部門/事業部門)、企業規模等により、その意味合いも変わってくるものではないかなと。

今回の発表を通して、多くの有識者の方々から貴重な指摘をもらえたことは、とても有難く、また研究の意義も含めて共感のコメントを数多く頂けたことは、とても嬉しかったです。

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カリアック会議は今回で三回目の参加となりましたが、年々参加者が増え、多岐に渡る興味深いテーマの発表が多くありました。(Agendaはコチラ

主催者の皆さま、IT資産価値研究会の皆さま、そして関係者、聴講者の皆さま、
本当にありがとうございました!!!

最後になりましたが、今年から複数企業のコンサルタントの方々と共に「IT資産価値研究会」を定期的に実施しています。
ゲスト参加も大歓迎ですので、該当テーマに関心がある方は、ご一報下さい。