〆切前にBlogを慌てて書いていると、学生時代の夏休みの宿題を思い出します。
大人になっても、人間の中身はあまり変わらないのかもしれませんね。
少し仰々しいタイトルになりましたが、社外活動で調査レポートを眺めていたら、調査年度、主体の違うレポートから興味深い共通性と違いに気がついたので、今回はその話を少し。
ご紹介するレポートは、以下の2つです。
- 日本情報システムユーザー協会(JUAS)「企業IT動向調査2014」,2014年
調査時期:2013年10月~11月
調査対象:東証一部上場企業とそれに準じる企業 1,016社(4,000社) - 野村総研(NRI)「ビッグデータの利活用に関するアンケート調査」,2012年
調査時期:2012年7月24日~8月3日
調査対象:売上高200億円以上の企業 228社(1,583社)
JUASの調査は、年次でIT投資管理の傾向が把握できる貴重なレポートですが、今年度はトピックスの一つとして「ITトレンド(ビッグデータ)」が取り上げられています。
NRIの調査は、タイトルの通り「ビッグデータの利活用」にターゲットをあてたものです。
この2つのレポートから、「ビッグデータの活用状況」「ビッグデータの活用における課題」の2点に焦点をあてて、引用、比較しまみます。
【ビッグデータの活用状況】
まず初めにNRIの調査結果では、
(出典:NRI「ビッグデータの利活用に関するアンケート調査」 |
- 調査対象企業の内、約6割がビッグデータ活用を自社の検討課題と認識、今後の課題認識も含めるとその比率は約8割へ。
- 活用状況は、企業規模(売上規模)と概ね相関関係があり、売上規模が1兆円以上の会社では約3割の企業が以前から活用していると回答しているのに対し、同規模が1000億円未満の会社では約1割に留まる。
次にJUASの調査結果では、
(出典:JUAS「企業IT動向調査2014」 |
- 調査対象企業の内、現状でビッグデータを活用しているのは全体の1割未満(導入済みが4.8%、導入準備中が3.6%)で、検討中の企業を含めても2割強。
- 但し、今後(3年後)は導入済みが10%、導入準備中が12%、検討中が23.5%と大幅な増加見込みであり、その比率は4割を超える。
- 活用状況は、企業規模(売上規模)との相関関係があり、売上規模が1000億円以上の会社では導入済みが7.3%、導入準備中が6.7%、検討中が24.2%と3年後の平均値に近い。
「活用状況」は、調査方法等によって数値に多少のバラつきがありますが、2つのレポートで概ね同じ傾向を示しています。
【ビッグデータ活用における課題】
NRIの調査結果では、
(出典:NRI「ビッグデータの利活用に関するアンケート調査」 |
- ビッグデータ活用における課題は、上位から「導入目的の明確化」、「投資対効果の説明」、「担当者のスキル不足」、「人材不足」、「人数不足」。
- 「投資対効果の説明」を課題視している比率は45%。
次にJUASの調査結果では、
(出典:JUAS「企業IT動向調査2014」 |
- ビッグデータ活用における課題は、上位から「導入目的の明確化」、「体制/組織の整備」、「技術の習得、選択」。
- 「費用対効果の説明」を課題視している比率は約25%(5番目の課題)。
「課題」については、導入目的の明確化が一番の課題であること、人材・体制・組織といったヒト系の課題が多いことは、2つのレポートに共通していますが、「投資対効果(費用対効果)の説明」に対する課題認識の比率は、2つのレポートで比較的大きな差異が出ています。
また、JUASの調査結果において、該当要因を一番の理由に挙げた企業は5.4%と比率としても少ないと言えます。
長くなりましたが、ポイントをまとめると
- ビッグデータ活用における一番の課題が、「導入目的の明確化」という手段と目的の逆転現象が発生していること
- ビッグデータ活用において、「投資対効果の説明」を課題視している企業は大きく減少してきている(可能性がある)こと
少し先読みすれば、「ビッグデータ」がバズワードの期間を超えて、多くの企業で地に足のついた検討・議論が進んでいると言えるのかもしれませんね。
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