2012年9月27日木曜日

カリアック会議で学んだ3つのコト

河田です。
9月8日(土)~9(日)に、「中小企業のIT経営研究会」浜名湖フォーラム(通称:カリアック会議)に参加しましたので、今回はその話について少し。

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カリアック会議は、
  • 経営情報学会の「中小企業のIT経営研究部会」
  • 武蔵大学の「松島教授オープンゼミ」
  • ITコーディネータ協会の「IT経営研究所」
3者合同の研究合宿で、浜名湖畔のカリアック(商工会議所研修センター)で開催されました。

実際のセッション内容、雰囲気については、参加者の一人であるシーポイントの佐野さんが写真付きのBlog記事「カリアックで鍛える」で紹介されていますが、

大学教授の先生方にはじまり、
各界で、全国で活躍の皆さんが、ここ「浜名湖畔 カリアック」に集合したのです。
まるでメジャーリーグのオールスターを観てる気分でした。
この「演題タイトル」、まじ、スゴイっすよ。

という説明には、私も同感です。


今回で二回目の参加となる研究合宿でしたが、前回以上に多岐に渡るテーマに関する発表がなされ、とても中身の濃い時間を過ごせたと思います。


様々な分野の専門家、有識者、経営者の方々が集まり、肩書きや立場に関係なく議論するというスタイルは、とても新鮮で、会場に熱気があり、そして・・・心地良い緊張感も漂いました。

個々のテーマについて学んだコトを書くと、、、キリが無いくらいに色々な話があったのですが、その中でも特に私にとって重要な「気づき」に繋がったコトを3つご紹介します。

発表を聞いていないと・・・
議論に参加していないと・・・
そして一緒に深夜までお酒を飲んでいないと・・・???、
文章だけでは上手く伝えられない気がしてとても残念ですが、、、備忘録も兼ねて。
  1. Catalyst(触媒)としてのクラウドの重要性
    これまで個々個別に行われていた互いの業務や作業を結合させ、互いに利益をもたらす新たなビジネスのモデルを作り出すまでの設計がITベンダーに求められている(横田先生、スマイルワークス:坂本さん) 
    →クラウドの価値をコスト抑制、費用化モデル、俊敏性等のITリソースの所有/利用の世界で語るのではなく、クラウドのプラットフォームが無ければ実現できない「新たな付加価値」の視点で、実例も交えた話として聞けたのは、とても興味深いです。

  2. 個別の具体論ではなく、共通項から本質を考えることの重要性
    共通項を考えないで、個別の案件、取り組みの成果を比べることに意味は無いし、議論のテーマじゃない。個々の案件、取り組みにどんな共通性があったのか?その取組みはビジネスの成功に正しく繋がったのか?という本質を考えるべき。(手島先生)
    →「耳が痛い」というのは正に。。。と感じるお話でした。分かりやすい具体論(成功例)にはついつい共感しがちですが、本当に重要なのはケース・バイ・ケースの例ではなく、共通項であり抽象化できる概念、本質ですよね。

  3. ヘテロジニアスの重要性
    ヘテロジニアスな世界で勝負をしなければ、人間は成長できない。ホモジニアスな世界は居心地が良いが、大して成長しない。企業人はもっと積極的に外の社会に出て、異質な世界から多くのことを学ばなければならない。(黒岩先生)
    →技術の世界で広く深く世界と関わり、道を切り開いてきた方だからこそ・・・の重みのある話でしたが、偶然にも自分の経験と重なる部分が少しあったことも嬉しかったです。

私の中では、とても重要な気づきだったのですが、自分で書いた文章を読み返してみると、相互の関連性も無く、伝わり難いですね。ホントに。。。
この拙い表現でも、詳しく知りたいという方がもしいらっしゃったら、ご連絡下さい。

ちなみに、カリアック会議では「ソフトウェア資産管理とIT投資マネジメントの関係性」というテーマで、拙いながら…私も発表させてもらいました。



このBlogの過去のエントリ「「ソフトウェア資産管理(SAM)とは?」、「ソフトウェア資産管理(SAM)とは?(その2)」の延長線上の話ですが、
多くの有識者の方々から貴重な指摘をもらえたことは、とても有難く、
また一部の方から共感のコメントを頂けたことは、とても嬉しかったです。

最後に、この貴重な機会を提供して頂いた関係者の皆さん(特に、松島先生、IBMの栗山さん、日本商工会議所の小松さん)には、「感謝」以外の言葉が見当たりません。

本当にありがとうございました!!!

2012年8月31日金曜日

BABOKとIT投資マネジメントの関連性

藤原です。
3回目の投稿になりますが、隔月とはいえ、
テーマを意識したネタ探しや作文というのは、なかなか大変ですね。

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少し前に、BABOK(Business Analysis Body Of Knowledge)の研修に参加しました。
研修や自身での勉強を通じてBABOKを読み解く中で、IT投資マネジメント活動との関連性を感じる部分があったので、今回はその話をしたいと思います。

BABOK、BAとは?

BABOKとは、ビジネスアナリシス(BA)を行う為に必要なタスクやテクニックをまとめた知識体系であり、BA活動に関する共通のフレームワークです。
カナダのIIBA(International Institute of Business Analysis)という団体が2005年に初版を発行し、現在2.0版が最新となっています。

ビジネスアナリシス(BA)は以下のように定義されています。

ビジネスアナリシスとは、組織の構造とポリシーおよび業務運用について理解を深め、組織の目的達成に役立つソリューションを推進するために、ステークホルダー間の橋渡しとなるタスクとテクニックをまとめたものである。

また、BA活動を7つの知識エリアとして定義しています。
各知識エリアには、それぞれ関連する複数のタスクが含まれています。

  • 計画と監視
  • 引き出し
  • 要求マネジメントとコミュニケーション
  • 企業分析(EA)
  • 要求分析(RA)
  • ソリューションの評価と妥当性確認(SAV)
  • 基礎コンピテンシー

それぞれの知識エリアに関する詳細説明は、今回は省略させていただきますが、各種情報サイトの多くの記事で紹介されておりますので、そちらを参照ください。

また、BABOK自体も、IIBA日本支部のHPから購入することが可能です。
http://store.iiba-japan.org/

BABOKに記述される各知識エリア・タスク全体を通して、
BA活動のポイントを概略すると、以下となります。

  • 組織、業務を理解し、組織のビジネス上のゴールや目的を明確化する
  • ステークホルダーが目的の達成に必要とする機能や能力を要求として引き出し、構造化し、文書化する
  • 要求を分析し、目的達成との整合性を確認する
  • 実装担当(プロジェクト)に要求を正しく伝達し、提案されたソリューションの妥当性を確認する
  • 導入されたソリューションのパフォーマンスを評価する


BAタスクとIT投資マネジメントとの関連性は?

BA活動について、IT投資マネジメントの活動の関連性としては、

  • 組織の目的、その達成に必要な「要求」に関して、評価・判断するための指標を定義することを重要としている点
  • 組織の目的を達成するための「要求」に優先順位を付け、妥当性を確認するタスクを有している点
  • ソリューション導入後に、要求を満足する効果を果たしているか評価し、次の分析活動へ繋げるタスクを有している点

が挙げられると思います。

BABOKでは、ビジネス上のゴール、目的は「SMARTであるべき」としています。

 S:Specific(具体的)
 M:Measurable(測定可能)
 A:Achievable(現実的)
 R:Relevant(目的と関連している)
 T:Time-bounded(締切りがある)

また、優先順位付けられた「要求」(そして、その要求を満足するソリューションに対して投資すること)が妥当かを判断するための指標についても例示しています。

  • 前提条件の識別
  • 評価基準の設定(KPI)
  • ビジネス価値の確認
  • 要求トレーサビリティの確認
  • ビジネスケースとの整合性
  • 機会コスト

以下のタスクに関しては、「測定可能な評価基準の定義が必要」としています。

 「5.5 ビジネスケースの定義」
 「6.6 要求の妥当性確認」
 「7.6 ソリューションのパフォーマンス評価」

BAタスクに記述されている、投資する要求、ソリューションに対する妥当性確認や、導入したソリューションに対して、定量的・定性的な評価を行い、その効果を判断すると共に、次の取組みへと繋ぐ活動は、IT投資マネジメントにおいても共通であると思います。


私自身、BABOKについてまだまだ勉強不足で、解釈の間違い等があるかもしれません。
今後、読み解きを続ける中で、また新たな気づきがあれば、ご紹介したいと思います。

2012年7月30日月曜日

ソフトウェア資産管理(SAM)とは?(その2)

少し前に「ソフトウェア資産管理(SAM)とは?」というエントリでソフトウェア資産管理の概要、及び対象範囲に触れましたが、今回はその続きです。

ソフトウェア資産管理の対象範囲が、「基準/ガイドラインで定義された範囲」と、「一般的に実務で扱われる際の範囲」で大きな差異があることは前回書きましたが、この違いは以下の2つの問題に起因しているのではないか?と考えています。
  • 技術的な仕組みの問題
  • 会計上の管理の問題
つまり、概念モデル(机上論)としては広範な範囲を対象にできるけど、実務上は上記の問題が解決できないために、、、結果として範囲が限定的になるのではないかな?と。


「技術的な仕組み」については、今回のテーマではないので、簡単に触れておくと・・・
汎用性、共通性、標準性の高いクライアントPCに比べサーバーの技術仕様を標準化することが難しいことがその真因と考えています(具体的に言えば、OSレベルで異なること、エージェントアプリの導入による影響が懸念されること、それらに起因するAPIの課題・・・が挙げられます)。

前置きが長くなりましたが、今回はこの「会計上の管理」に関係するソフトウェア資産管理におけるIT投資のアプローチについて、少し考えてみたいと思います。

【国内会計基準におけるソフトウェア資産の扱い】
まず、会計制度的な扱いについて、国内ではソフトウェア資産(無形固定資産)に関する包括的な規定が無いため、下記の2つの規定からその目的に応じて会計処理が判断されることになります。
  • 「研究開発費等に係る会計基準」企業会計審議会
  • 「研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針」会計制度委員報告第12号

このため、多くの企業においてソフトウェア資産は、「自社利用ソフトウェア」という扱いの無形固定資産として計上され、5年の定額法で減価償却することが一般的になっています。


つまり、ソフトウェア資産として一時的に資産化はされるものの、あくまで会計上の費用処理の管理であり、仮に6年以上利用するアプリケーションであったとしても、減価償却後の価値は認められていません。(言い換えれば、「価値」としては管理されていないことになります)


【国際会計基準(IFRS)におけるソフトウェア資産の扱い】
少し視野を広げて国際会計基準(IFRS)におけるソフトウェア資産の扱いを見てみると・・・国内基準とは考え方が少し違います。

IAS第38号によれば、(ソフトウェア資産を含む)無形資産は
過去の事象の結果として企業が支配し、かつ、将来の経済的便益が企業に流入することが期待される資源のうち、物質的実体のない識別可能な非貨幣性資産」
と定義され、無形資産の要件として、以下の2つが定められています。
  1. 資産に起因する、期待される将来の経済的便益が流入する可能性が高いこと
  2. 当該資産の取得原価が信頼性をもって測定できること
つまり、国際会計基準では上記の要件さえ満たせばソフトウェアを資産として計上し、継続的に価値を認める(管理する)考え方はあると言えます。

但し、既に国際会計基準(IFRS)導入済みの欧州企業でさえも費用処理/資産化の対応が分かれているのが実情であり、
国内基準への適用(資産化の是非)についても企業会計基準委員会(ASBJ)で無形資産に関する論点の整理(H21.12.18)」でも問題提起され、審議事項(5)-3 検討論点:社内開発費の資産計上について」審議されている状態です。
開発に係る支出を資産計上するか否かについては、それが無形資産の定義に該当し、認識要件を満たす以上は資産計上すべきであるという見方がある一方で、そもそも経済的便益をもたらす蓋然性の要件を判断するのが困難ではないかという点や、その運用において資産計上すべきか否かの判断に企業間でばらつきが生じるのではないかという点から従来通り支出時の費用とすべきであるという見方もある。 
この辺りの難しい論点は会計制度の話なので、専門の会計士の議論の結果を待つしかありませんが、この資産計上の可否はあくまで(財務的な)会計上の扱いの話に過ぎません。

【知的資産としてのソフトウェア資産】
次に、ソフトウェア資産を知的財産/資産として捉えると、まずソフトウェアは知的財産としてそのプログラムの表現が著作権法で保護されています。
そこで、知的財産の会計上の扱い、及び価値評価について少し考えてみると…

  • 特許権、商標権に代表される知的資産は、無形固定資産として扱われる
  • (企業統合、M&A等の客観的に資産性を算出するタイミングを除けば)財務会計の視点で評価(資産計上)はできない
  • 知的資産の価値を評価する目的は多岐に渡る(必ずしも会計的な視点は求められていない)


このように、知的財産は(無形資産と同様に)会計上では評価が難しいものの、内部管理の目的において適正な評価を行い、知財戦略として積極的に活用するという考え方は一般論としても妥当と言えそうです。

【会計区分と管理会計のアプローチ」
ここまでの文章では、会計=財務的な扱いを前提に書いてきましたが、企業会計には財務会計だけでなく、管理会計のアプローチがあります。


つまり、会計制度に大きく影響を受ける財務会計の視点でソフトウェア資産管理を考えると、様々な面で限界がある(できることもあれば、できないこともある)ことになりますが、管理会計の視点としてソフトウェア資産管理を考える場合は、企業独自の考え方を適用できます。

【まとめ:IT投資マネジメントとソフトウェア資産管理】
最後に、ソフトウエア資産管理とIT投資マネジメントの関係性について、前回・今回の内容を纏めて考えてみると・・・

  • ソフトウェア資産管理は「セキュリティ強化、IT投資の最適化」を目的とし、有償/無償を問わないソフトウェア全体(稼働するハードウェアも含む)が本来の対象範囲である→しかし、実際には多くの企業で、「ライセンスコンプライアンス」を目的として、有償ソフトウェアの管理のみに対象範囲が留まっていることが多い(自社開発アプリケーションは事実上管理されていない)
  • 国内会計基準では、一時的に資産化はされるものの、あくまで会計上の費用処理(減価償却費)の管理のみで、価値としては管理されていない
  • 国際会計基準(IFRS)では、ソフトウェアを資産として計上し、継続的に価値を認める(管理する)考え方はあるものの、その要件は厳しい
  • 知的財産としてソフトウェア資産を(財務)会計視点で(資産計上することを考慮して)価値評価することは難しい
    →しかし、
    管理会計の視点で「自社の経営管理に役立つ情報」と位置づけ、適正な評価を行い、企業活動に積極的に活用するという考え方は一般論としても妥当

このように見てみると、「IT投資マネジメントの一つのテーマとしてソフトウェア資産管理を扱う意義は大きい」という仮説が成り立つのではないかと考えています。

今回は様々な視点での概論になりましたが、このアプローチについては、現在検討を深めているところなので、内容が纏まった時点で改めて公開したいと思います。

2012年6月30日土曜日

イギリス内閣府『Management of Portfolio(MoP)』の概要

今回は、イギリスの内閣府(Cabinet Office)から発行されているポートフォリオマネジメントのベストプラクティス「Management of Portfolio(MoP)」について、概要をご紹介したいと思います。
イギリス政府では、ベストマネジメントプラクティス(マネジメントに関する成功事例集)に関する多くの文書を発行しています。今回ご紹介するポートフォリオマネジメントに関する文書以外でも、ITサービスマネジメントのベストプラクティスとして認知されている『ITIL』を発行しているのも、このイギリス商務局です。
(発行所管については、2010年に、商務局(OGC)から内閣内閣府(Cabinet Office)に移管されています)

MoPは「適切なポートフォリオ管理のロードマップを設計するために有用なアドバイスを提供するものである」と記されています。
MoPは、5つの原則、及び2つのマネジメントサイクルとそこに含まれる12の慣行(管理項目)によって構成されています。

5つの原則
  1. 上級経営者層によるコミットメント
  2. ガバナンスとの整合
  3. 戦略との整合
  4. ポートフォリオオフィス構築
  5. 変革の文化に対する意欲

2つのサイクルと12の慣行
  1. ポートフォリオ定義サイクル
  2. ポートフォリオ実行サイクル

 ポートフォリオ定義サイクルに含まれるプラクティス
「理解(把握)する」
「分類する」
「優先度を設ける」
「バランスを考慮する」
「計画する」

ポートフォリオ実行サイクルに含まれるプラクティス
「マネジメントコントロール」
「ベネフィットマネジメント」
「財務マネジメント」
「リスクマネジメント」
「ステークホルダーマネジメント」
「組織ガバナンス」
「リソースマネジメント」

このような項目で箇条書きすると、知識体系のような印象ですが、MoPは知識体系や標準という位置付けではなく、あくまでガイドという位置付けで、ベストプラクティスの利用事例、ベストプラクティスに関する実践方法等が説明されています。

こうした実例を通して纏められた様々な示唆は、実務における様々な局面において有益な情報になると思います。

今回はご紹介はあくまで概要レベルですので、 ご興味のある方は是非原文をご参照ください。

2012年5月31日木曜日

ソフトウェア資産管理(SAM)とは?

先日、研究会でソフトウェア資産管理(SAM)とIT投資マネジメントの関係性についての話をしたので、今回はその中からソフトウェア管理の話を少し。

【ソフトウェア資産管理(SAM:Software Asset Management)の概要】
  • 「組織内のソフトウエア資産の有効な管理、制御及び保護」のために、ライフサイクル全般にわたってソフトウエアの使用・保有状況などを管理する仕組みの総称
  • 近年の法規制の変化(利用者視点)と、ソフトウェア違法コピーによる損害の高まり(権利者視点)から、2000年代に入ってから急速に注目を集めている分野
  • 2001年にソフトウェア資産管理コンソーシアム(SAMCon)が設立され、「ソフトウェア資産管理基準」を策定すると共に、国内企業のSAM実践に対する啓蒙活動を実施( ※現在はSAMCon→SAMAC
背景(法規制の変化等)について、もう少し詳しく知りたいという方は、「ITPro」「ビジネス+IT」に分かりやすく纏められています。

【主な管理基準、ガイドライン】
  • ISO/IEC19770-1
  • :ソフトウエア資産管理の国際規格として2006年に策定
  • JIS X 0164-1
  • :ISO/IEC19770-1の同一翻訳(IDT)の国内規格として2010年に策定

特にISO/IEC19770-1は、色々なサイトで参照扱いされていることが多いですね。


ここからが本題になりますが、、、
ソフトウェア資産管理は、基準/ガイドラインで定義された目的(対象範囲)と、一般的に実務で扱われる際の目的(対象範囲)は、結構違いがあります

実際にソフトウェア資産管理の目的について、ISO/IEC19770-1では
  • 「ITサービスマネジメント全体の有効な支援」
  • 「ビジネスリスク管理の促進」
  • 「ITサービス及びIT資産に関するコスト管理の促進」
  • 「ITを有効に活用することによる競争上の優位を得ること」
と広義の概念が定義され、その対象範囲についても
ソフトウェアの性質に関係なく,すべてのソフトウェア及び関連資産に適用できる。例えば,実行可能ソフトウェア(アプリケーションプログラム,オペレーティングシステム,ユーティリティプログラムなど)及び非実行可能ソフトウェア(フォント,グラフィック,音声,映像,テンプレート,辞書,文書,データなど)に適用できる。(中略) あいまいでない限り,すべてのソフトウェア,すべてのプログラムソフトウェア,特定のプラットフォーム上のすべてのソフトウェア又は特定の製造業者のソフトウェアのような,組織が適切と考える何らかの方法で定義をしてもよい。
と明記されています。

特筆すべきは、OSSに代表される無償ソフトウェアは勿論のこと、内部開発のソフトウェアについても適用可能という点ですね。
実際にISO/IEC19770-1のプロセスとして、「開発」~「展開」~「廃棄」に至るソフトウェアライフサイクルも定義されています。

一方、実務上のソフトウェア資産管理の目的は
  • 「著作権法、及び使用許諾条件の順守」
と非常に限定的に扱われ、対象範囲も有償ソフトウェアのみ(≒ソフトウェアライセンス管理)と位置付けている場合が非常に多いのではないかと感じます。

例えば、該当分野の主力製品が提供している機能範囲(主としてPC上のソフトウェア管理、構成管理)からも、上記の傾向は明らかと言えます。
#どこの製品とは言いませんが・・・「ISO/IEC19770-1に準拠」と明記しながら、PC管理の機能しか提供していない製品もありますね。

基準と実務でこれほど差が大きい管理概念も珍しいのではないでしょうか?

つまり、本来のソフトウェア資産管理は、「セキュリティ強化、IT投資の最適化」を目的とし、有償/無償を問わないソフトウェア全体(稼働するハードウェアも含む)が対象範囲ですが、実際には多くの企業で、「ライセンスコンプライアンス」を目的として、有償ソフトウェアの管理のみに対象範囲が留まっていると言えます。



「あらゆるソフトウェアを管理すべき!」とまでは言いませんが、ソフトウェア「資産」の管理と言いながら、その資産の中身は「PCに関連する保有ライセンスのみ」に限定されるのは、やはりあるべき姿とは言い難いと感じます。

投資額を考えても、、、多くの企業ではPCに関連するソフトウェアコストよりも、システムに関連するソフトウェアコストの方が圧倒的に大きいですから。

勿論、システムに関連するコスト(投資)は、会計的な処理をしている云々の話もあると思いますので、その話は次回に。