2013年3月15日金曜日

「IT投資マネジメントの変革」(松島桂樹編著)発刊!

河田です。
今回は、昨日(3/14)発刊された「IT投資マネジメントの変革」をご紹介します。

IT投資マネジメントの変革IT投資マネジメントの変革
松島桂樹

白桃書房 2013-03-20
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この本は、国内でIT投資マネジメント分野の第一人者である武蔵大学 経済学部の松島教授が執筆・編集された書籍で、「戦略的IT投資マネジメント」(1999年)、「IT投資マネジメントの発展」(2007年)に続くシリーズ3作目の書籍になります。

執筆者には松島先生に加えてこの分野で一流の研究者、実務家の方々9名(+α)が参加されていますので、内容としても理論的に学べる内容だけでなく、実践的に役立つ内容も多く含まれています。

発売されたばかりの新書なので、具体的な内容の紹介は控え、皆さんにも是非本書を読んで頂きたいと思いますが、参考までに目次をご案内すると・・・

第1部 グローバリゼーションの環境変化とITの動向
 序章 グローバル時代のIT経営戦略
 2章 企業経営にとってのIFRS
第2部 IT投資の資産価値の増大
 3章 ライフサイクルポートフォリオマネジメント
 4章 情報システム構築における経営者の役割
 5章 オペレーション・マネジメントの価値増大
 6章 BCPにどこまで投資すべきか~IT-BCP投資マネジメント
 
第3部 グローバル、グループ経営におけるIT投資戦略
 7章 情報システム部門の再構築~戦略的IT組織とは
 8章 中小企業にとってのIT投資マネジメント
 9章 IFRSで変わる企業会計情報システム
 終章 IT投資マネジメントの研究方法

という3部構成になっています。

国内でIT投資マネジメントを約15年間研究されてきた松島先生が編著され、多くの有識者が関わっていますので、IT投資マネジメントに関心がある方は勿論のこと、IT+経営というテーマに興味がある方には、きっと何らかの気づきが得られるのではないかと思います。

出版社の白桃書房でも、、、
近年の経営環境の変化によりIT投資マネジメントの必要性はますます高まった。本書は,経営のグローバリゼーション,IFRS,クラウドコンピューティングを取り上げ,それらのIT投資マネジメントへの影響と改革を考察。企業経営者・SIer必読の書
と紹介されています。

そして、何故か???私も共著者の末席に加えて頂き、5章を共同執筆しています!
(という訳で、上記の+αは私のコトです。書評等で5章を酷評しないで下さいね。)

5章の内容は、このBlogの過去のエントリ「IT投資のオペレーションマネジメントとは?」でご紹介した内容にも深く関係していますが、一般にネガティブな捉えられ方をすることが多い、運用保守フェーズのIT投資のあり方について、書いています。

実は、、、前職のITコンサルファーム時代に、二作目の「IT投資マネジメントの発展」を読み、松島先生が提唱されている「合意形成モデル」を知ったことが、IT投資マネジメント分野に本格的に向き合うことになったキッカケだったので、数年経った現在にこのような形で三作目に携わることができたことは、とても感慨深く感じています。

ちなみに・・・この本はタイトルの通り、従来のIT投資マネジメントの考え方・アプローチの「変革」に踏み込んだ内容でもあるので、これから該当分野に携わる方には、二作目の「IT投資マネジメントの発展」から読むと、より理解が深まると思います。

IT投資マネジメントの発展―IT投資効果の最大化を目指してIT投資マネジメントの発展―IT投資効果の最大化を目指して
松島 桂樹

白桃書房 2007-05
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最後に・・・、この本を通して、本の執筆の大変さ、編集作業の難しさを知り得たことは、とても貴重な経験になりました。関係者の皆さんには、本当に感謝の気持ちで一杯です。

この場を借りて、改めて、、、ありがとうございました!

2013年2月28日木曜日

ITコーディネータとIT投資マネジメント

藤原です。
先日「ITコーディネータ」のケース研修を受講しました。
この研修を通じて、色々な刺激を受けたので、今回はその話をご紹介したいと思います。

本ブログを読んでくださる方には、「ITコーディネータ」とはどのようなものか既に知っている、または「ITコーディネータ」として資格を保有し、実務として活動をしている方もいらっしゃるかもしれませんが、ご存知無い方のために、ごく簡単ではありますが概要についてまとめると・・・

◆ITコーディネータとは
  • 2001年、通商産業省において、企業の戦略的IT投資を推進する国家プロジェクトの一環として制定された資格制度
  • 特定非営利法人「ITコーディネータ協会」にて資格認定等の運営を実施
  • 現在、経済産業省の推進資格として、約6500名の資格保有者が全国で活動中

ITコーディネータは「経営者の立場に立って、経営とITの橋渡しし、信に経営に役立つIT化投資を推進・支援するプロフェッショナル」と定義されています。
また、ビジョンとして「中堅・中小企業の経営課題に精通し、ITによる解決を通じて経営力強化に貢献する」と掲げられています。
つまり、経営とITの両面に精通し、企業の経営戦略の達成を目的としたIT戦略の実現を企業内外から推進・支援する人材となります。


ITコーディネータ プロセスガイドライン

ITコーディネータ協会では、企業がIT経営を推進する上で順守すべき基本的な原則とプロセスをガイドラインとしてまとめ、ITコーディネータが備えるべき知識体系として活用しています。
※協会のHPにて公開されておりますので、ご興味のある方はこちらからダウンロードしてみてください。

【プロセスガイドライン「IT経営プロセスモデル」の概要】

①IT経営認識プロセス・・・経営者・従業員が「IT経営が必要」ということの重要性を認識するプロセス
 (1) 変革認識フェーズ:経営者・従業員の気づき、課題と解決策、変革構想、等
 (2) 是正認識フェーズ:新たな環境変化・自社課題、改善への気付き、是正アクション等
 (3) 持続的成長認識フェーズ:ビジョンの評価、将来や新たな枠組みの洞察、等

②IT経営実現プロセス・・・経営戦略~IT戦略、調達・導入・活用に至るまでのプロセス
 (1) 経営戦略フェーズ:経営環境分析、経営戦略策定と展開、等
 (2) IT戦略策定フェーズ:IT環境分析、IT戦略策定と展開、等
 (3) IT資源調達フェーズ:調達計画策定、RFP発行、等
 (4) IT導入フェーズ:IT導入実行計画策定、IT導入実行と管理、等
 (5) IT活用フェーズ:ITサービス活用と管理、IT戦略達成度評価、等

③IT経営共有プロセス・・・IT経営の実現に必要な共通的なプロセス
 (1) プロセス&プロジェクトマネジメント
 (2) モニタリング&コントロール
 (3) コミュニケーション

これらの各プロセス、フェーズにおいて経営者の意思決定や現場の実務に対して助言や支援を行う役割をITコーディネータが担います。


◆ITコーディネータ ケース研修制度

ITコーディネータの認定条件としては、「筆記試験に合格すること」+「ケース研修を履修すること」が必要となります。

【ケース研修制度の概要】
  • 2012年にケース研修の実施形態が、15日間の集合研修から、eラーニングによる個人学習+集合研修(6日間)に変更
  • eラーニングによる個人学習は、プロセスガイドラインの要点を事前に学習し、以降に実施する集合研修につながる事前課題に取り組む
  • 集合研修では、プロセスガイドラインを理解した上で、モデル企業を題材にしたケーススタディを実施
  • 受講者はグループ毎に分かれ、モデル企業に関する経営戦略・IT戦略策定からITサービス活用までの各プロセスの様々なタスクを実践
  • 集合研修実施後は、取り組んだプロセスを復習することも兼ねて、該当部分のレポート課題を提出

今回、このケース研修を受講したことで、講師や他の受講者の方々との情報交換、ケーススタディでの取組みを通じて、多くの刺激を受けることができ、非常に有意義な時間だったと感じています。


◆研修を通じて感じたこと

  • 経営戦略~ITサービス活用といった幅広いテーマに関して、有益な情報や知識を体系的に習得できる

   個別プロセスを意識するのではなく、IT経営プロセスのライフサイクル全体を
   俯瞰することで、各プロセスやフェーズの位置付けと目的、後続するフェーズ
   との関連性や意義を認識しながら、タスクを理解することができます。

  • 受講者間の情報共有、人脈形成ができる

   受講者は様々な分野や職種の方々なので、ケーススタディにおいて、各々の業
   務経験から得られた知見や価値観を基に討論を重ねることによって、互いに新
   たな視点、考え方など多くの気づきを得られます。

残念だった点は、研修時間が短縮された影響もあり、限られた時間内で多く課題(ケーススタディ)に取り組まなければならない為、解釈を深化させたり、講師や受講者の実務上の経験等の情報共有の時間がもう少し確保できれば良かったなと感じています。


◆ITコーディネータとIT投資マネジメントの関連性

ITコーディネータがIT経営の実現に対する支援・推進を進めていく取組みは、IT投資マネジメント活動と非常に密接な関係にあると感じます。

プロセスガイドラインでは、IT戦略策定フェーズからITサービス活用フェーズにおける基本原則として「投資対効果の原則」を以下のように記載しています。

経営戦略目標達成のためのIT導入の目的を確認し、目的を達成した場合の効果とその効果を達成する仕組みを明らかにする。あらかじめ投資利益率・投資回収年数等の評価基準を設け投資対効果を評価する。これらの評価を参考にして、経営戦略目標達成の貢献度の高いものを優先して実施する。

つまり、IT経営実現のプロセスとして、戦略目標としての指標を定めると共に、その達成度評価による投資対効果の評価活動をIT経営のプロセスに組み込んでいます

IT戦略に基づく「IT導入」が目的ではなく、その投資・ITサービス活用によってもたらされる「経営戦略の達成」を目的として支援活動を行うITコーディネータにとって、IT投資管理に対する強い意識を持って各プロセスを推進していくことは、非常に重要であると感じます。

最後に。
ITコーディネータの有資格者は、地域毎や研究テーマ等によるコミュニティを形成し、様々な活動を行っています。今後、こうした活動を通じて、積極的な情報収集と企業への支援活動の実践に向けて取り組んでいきたいと考えています。


2013年1月31日木曜日

ITポートフォリオの実践に必要な3つのポイント



河田です。
昨年の振返り結果から、「アプリケーションポートフォリオ」、「PPM」に注目して、このBlogを訪問する方が多いことが分かりましたので、今回は「ITポートフォリオ」に関する話を少し。

ITポートフォリオについては、このBlogでも何度か取り上げたこともあり、抽象的な概念はある程度確立されているものの、具体論については見かけることが非常に少ないと感じています。

実は、昨年から「ITポートフォリオ」を中心テーマと扱っている研究会に参加し、多くの企業の皆さんと情報交換/意見交換をさせて頂いていますが、他のIT投資マネジメントの取組みに比べて実際の導入例は非常に少ないと感じています。

このような背景を踏まえ、今回はITポートフォリオの理論ではなく、実践向けのアプローチとして、具体的な手法と、ITポートフォリオを考える上で重要な3つのポイントについてご紹介します。

まず、「ITポートフォリオ」と聞くと・・・イメージでは、「戦略適合性」×「実現性」、「ROI」×「投資額」といった組合せのバブルチャートの例がよく使われます(私もイメージの説明にはよく使います)。



しかし、実際にITポートフォリオを活用する際には、このモデルは一つの例に過ぎず、
 ①どのような評価軸で分類するか?
 ②その評価軸をどうやってスコアリングするか?
という点が、実務上は非常に重要なポイントになります。

この①評価軸、②スコアリング方法については、何らかの正解がある訳ではなく実は色々な考え方があるので、まずは汎用的に公開されている情報からいくつかの手法をご紹介します。

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1.経産省の「業績評価参照モデル(PRM)を用いたITポートフォリオモデル活用ガイド
  • 「戦略適合性」×「実現性」の2軸で評価
  • 戦略適合性は、有効性、必然性、影響範囲の3視点で評価(計30点)
  • 実現性は、外部リスク、人的・組織的リスク、技術的リスク、プロジェクトリスクの4視点で評価(計20点)
  • 評価結果を4象限(2軸×平均値以上/以下)で分類し、案件を評価

2.経産省の「研修所研修教材」におけるITポートフォリオ
 <出典:経産省「IT経営協議会(H20.6)討議用使用」> 
  • 既存システムは「満足度」×「コスト要因」の2軸で評価(新規システムは業績参照モデルと同じ評価)
  • 満足度は、効果、機能充足度、操作性の3視点で評価(計40点)
  • コスト要因は、外部コスト、職員稼働量の2視点で評価(計25点)
  • 評価結果を4象限(2軸×平均値以上/以下)で分類し、案件を評価

3.政府調達のためのIT投資評価に関する調査研究
  • 戦略軸×技術軸の2軸で評価
  • 戦略軸は、下記5つの視点(8項目)で評価(50点)
  • 技術軸は、全般、開発 or 運用/インフラ視点(7項目)で評価(50点)
     
    (開発、運用/インフラ視点は選択制)

4.米国GSA(連邦政府一般調達局)の「Capital Planning and IT Investment Guide」
<「政府調達のためのIT投資評価に関する調査研究」より引用>
  • 「Technical Rating(技術要素)」×「Strategic Factor Rating(戦略要素)」の2軸で評価
  • 技術要素は、一般、開発 or 運用/インフラの視点(6~7項目)で評価(50点)
  • 戦略要素は、戦略的インパクト、便益への展望等の5視点(8項目)で評価(50点)

5.米国OMB(行政管理予算局)の「CAPITAL PROGRAMMING GUIDE v3.0
  • 「Suitability」×「Fitness」の2軸で評価
  • Suitabilityには、Strategic Alignment、Performance Measures等の指標を利用
  • Fitnessには、Serviece Reference Model、Technical Reference Model等の指標を利用
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如何でしょう?
リンク集のような話になってしまいましたが、実務者にとって少しは役立つ情報だったでしょうか?

文章だけでは、イメージし難い内容だと思いますので、興味のある方は各リンクからソース情報を是非ご参照下さい。

まずは、全体的なイメージだけでも掴みたいという方は、上記を含めたITポートフォリオモデルの概要を以下に公開しています。



今回は手法を中心にITポートフォリオを紹介しましたが、実際にITポートフォリオを活用する際の3つ目のポイント(一番重要なポイント)は、
 ③採用目的:何を説明するためにITポートフォリを使うのか?
という点にあります。

上述のような手法(テクニック)に走ってしまうと、忘れ去らることが多いですが、
ITポートフォリオは、「案件の取捨選択」、及び「アカウンタビリティ」といった主に経営層への報告に際して特に有効な仕組みですから、「何のために」を強く意識することが重要です。

なお、上記資料では応用例として「サービスポートフォリオ管理」、「投資分類毎のポートフォリオ管理」も紹介していますので、興味のある方は併せてご参照下さい。

最後に…「IT投資マネジメント情報局は、最低でも週次更新しなさい」という厳しくも温かい応援メッセージ付きの年賀状を送ってくれた大先輩のKさん、ご期待に沿えなくて・・・ごめんなさい。

メッセージはとっても嬉しかったのですが、一個人としては情報力(体力とも言う?)がまだまだ足りてないので、「仲間を増やして更新頻度を上げる」という作戦を4月目処で計画中です。
ご期待ください!

2012年12月30日日曜日

ITIM分野の実務者が興味を持ったのは?(2012)

藤原です。
早いもので今年も残すところ、あと2日となりました。
ブログを読んでくださっている皆様にとって、2012年はどのような1年だったでしょうか?

今年から本ブログ「IT投資マネジメント情報局」への投稿を隔月で担当するようになりましたが、ブログ記事を書くにあたり、様々な関連分野の情報に触れる機会が増えたことで、自分自身にとって多くの「気づき」や「学び」へ繋がる良いきっかけになりました。

多くの参考情報を提供してくださった諸先輩や、このブログを見てくれた方々、フィードバックをくださった読者の皆様に深く感謝します。

今回は年内最後の投稿ということで、1年の振り返りとして毎年恒例?となりました Google Analyticsの統計データから一部をご紹介したいと思います。



■全体傾向(訪問数、ページビュー数、他)

  • 訪問者数は昨年に比べ、約500人程度(昨年は3,332)増加しています。
  • 残念ながら、直帰率が昨年より2%ほど増えています。

月に一度の投稿ではありますが、前年比で訪問者数が増えていることはとても嬉しいです。ただ、昨年と同様に直帰率が高い状況にあるということは、新たに興味を持った方々にとって、コンテンツの内容として、まだまだ期待に応えられていないということですね。


■参照元(ソースメディア)
  • 参照元は、昨年同様にGoogleからの検索結果が一番多い(約6割)です。
  • facebook経由のアクセスが昨年に比べて僅かながら増えています。 



■検索傾向(キーワード)
  • 検索キーワードとしては、昨年と同様に「IT投資」「ガイドライン」が多い傾向にあります。
  • 昨年に比べ「アプリケーションポートフォリオ」というキーワードから検索されてきたケースが増えています。
  • PPM製品では、「MS Project Server」が最も多く、上位10件には入っていませんが、「ca clarity」「oracle primavera」等での検索によるアクセスもありました。

ガイドライン等が検索傾向として多いのは想定できるとして、「アプリケーションポートフォリオ」や「プロジェクトポートフォリオ」に関連するキーワードが増えている傾向にあるのは、測定・評価ということを重要視する動きが高まっていることの表われなのでしょうか。


■閲覧ページ

閲覧ページの傾向に加え、検索キーワードでも「PPM 事例」等が数件あったことから、PPM製品に関する注目が高まっているのかもしれません。


■アクセス元(地域)

  • アクセス元の地域は、昨年と同様に東京が最も多く、神奈川、大阪と続いています。
  • 北海道から沖縄まで全国各地からアクセスがありました。
  • 世界で見ると、オーストラリアからが最も多く、100件以上もの訪問数がありました。


2010年2011年と同様に、同じ評価視点で簡易分析をしてみました。

年間の訪問者数が昨年に比べて増加したことは、とても嬉しいことですが、直帰率が依然高い状態であることから、まだまだコンテンツの充実を図っていかなければならないと感じています。

来年もIT投資マネジメントに関連する分野の皆様にとって、有益な情報を発信できるよう取り組んでいきたいと思います。

それでは、最後まで読んでくれた皆様・・・
良いお年を。
来年もどうぞ宜しくお願いします。

2012年11月30日金曜日

IT投資のオペレーション・マネジメントとは?

河田です。
前回の投稿でカリアック会議での発表内容(コンテンツ)を紹介したところ、予想以上に多くの方からアクセスがあったので・・・今回は少し遡って、昨年のカリアック会議での発表の話を少し。

カリアック会議の概要は、過去の投稿「カリアック会議で学んだ3つのコト」で紹介していますが、昨年の会議では「IT投資のオペレーション・マネジメントの価値」というテーマで発表しました。

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「オペレーション・マネジメント」とは・・・システム開発後(サービス稼働後)の、運用・保守フェーズにおけるマネジメントの概念を指しています。

一般に「オペレーション・マネジメント」と言うと、主に製造業を中心とした生産管理プロセスの運営管理にフォーカスした話が多いようですが、ここで紹介している「オペレーション・マネジメント」は、企業情報システムにおける運用・保守フェーズのマネジメントを指し、大別して「運用」・「保守」・「稼動資産管理」の3つで構成されます。

なお、企業情報システムの運用・保守フェーズのマネジメントとしては、ITIL(IT Infrastructure Library)が有名ですが、ITILが運用・保守の「プロセス」に着目しているベストプラクティスの概念であるのに対し、オペレーション・マネジメントは該当フェーズの活動を「IT投資マネジメント」の切り口で捉えているところが、一番の違いと言えます。

前置きが長くなりましたが、今回は「オペレーション・マネジメント」について、「環境変化」と「重要性」の2点に絞ってご紹介したいと思います。


【環境の変化】
ITの環境変化は数え上げればキリがない話になりますが、運用・保守フェーズで考えた場合に意識すべき考慮点として、少なくとも以下の3点はインパクトが大きいと考えられます。

  1. クラウド化
  2. システム開発手法の変化
  3. IFRSへの対応

企業情報システムのクラウド化は、言い換えれば「システムがサービス化し、選択責任が利用者に移ること」ですが、クラウド化の進展により、従来以上にシステムの「サービス」という側面が意識されることになります。
サービス化されたシステムは環境変化に柔軟に対応するための対応(システムの機能追加、品質向上に繋がる継続的な改善)が従来以上に強く・素早く求められると言えます。

少し刺激的なタイトルですが、下記の特集も興味深いですね。



また、システム開発手法の変化という面でも、大規模システムはまだ従来手法ながら、新規の小中う規模システムにはアジャイル開発の採用、継続を前提とした開発が増えてきていますね。



また、会計制度としてのIFRS対応という面でも、(今後の議論の進展によっては)大きな影響が考えられます。
具体的には、投資判断の基準が「収益基準」から「資産負債基準」にシフトすることで、結果として下記を考慮する形で運用・保守フェーズで継続的にIT資産の管理が求められる可能性もあります。

  • 従来以上に投資結果を資産/負債として正しく把握する
  • IT投資においても資産、費用を正しく管理すること(耐用年数、減損)


このような環境変化に加えて、オペレーション・マネジメントの対象業務そのものも変化しています。




つまり、オペレーション・マネジメントの目的も「情報システムの維持・運行」から、「IT資産価値の維持・増大」へと変わらざるを得ない状況が生まれていると言えます。


【オペレーション・マネジメントの重要性】
運用・保守フェーズにおける調査・分析レポートは非常に少ないですが、該当分野にフォーカスを当てている調査の一つである、JUASのソフトウェアメトリックス調査によれば・・・

  • 多くの企業において、新規開発より維持費用に多くのコストがかかっているのが実情
  • 一定規模のシステムで、追加開発無しで継続利用するシステムはない
  • 自社開発システムの約6割は、稼動時の品質が「普通以下」と評価
  • 自社開発システムは、稼動後5年間で初期開発費の約5割に相当する保守費が発生

ということが報告されています。

このような状況を踏まえて、システム開発のライフサイクルに対応つけられたIT投資マネジメントのサイクルについても、変化が求められています。

  • 従来は、企画・計画フェーズのIT投資判断の在り方(所謂、事前評価)の議論が中心
    今後は、運用・保守フェーズのIT投資判断の在り方の議論も必要
  • 従来の事後評価は、事前評価の結果証明が中心
    今後は、機能追加を含む「保守」の評価の組み込み、システム稼働後の資産評価も必要


また、下記の点を考えれば、オペレーション・マネジメントはこれからもっと議論されるべき余地があると言えます。

  • 新規開発費のどう使うか?という積極的な議論に対し、維持費用は常に消極的なコスト削減議論の対象に留まることが多い
  • 維持費用と一言で言っても、投資の性質は一律ではなく、企業戦略に基づく大きな機能追加対応(拡張保守等)も増えている
  • 新規に開発するシステムは稼働するまで何ら価値を生み出すことは ないが、稼働中のシステムは既に何らかの価値を生み出している

このような点を考えていくと、「維持運用を重視」とは言わないまでも、「軽視すべきでは無い」と言えますね。

ちなみに、冒頭で触れたITILについて、2000年に公開されたv2と2007年に公開されたv3を比較してみると、ITILの変化にオペレーション・マネジメントとの関連性が見えてきます。
切り口が違うITILの変化からも、オペレーション・マネジメントの必要性が言えますね。


【まとめ】

  • 今後のIT投資マネジメントでは、オペレーション・マネジメントが重要なテーマの一つに
  • オペレーション・マネジメントでは、 「保守の評価」、「稼動資産の評価」が重要
  • オペレーション・マネジメントの取り組みとして、継続的なサービスマネジメントがKeyになる(サービス・ポートフォリオ管理、サービスレベル管理)


最後に、上記の話を含む発表資料を以下に公開しています。


オペレーション・マネジメントはIT投資マネジメントの中ではこれからの分野ですが、机上論ではなく実践的なアプローチが求められる段階になってきたと感じています。

IT業界の中ではネガティブなイメージが多いこの分野において、このエントリを見て、「オペレーション・マネジメントの価値」に興味を持つ方が一人でも増えてくれるとを願っています。