ValIT(Enterprise Value: Governance of IT Investments, The Val IT Framework)は、ITGI(米国ITガバナンス協会)が、COBITを補完・拡張する位置付けで、IT投資管理のフレームワークとして体系化し、2006年に初版(v1.0)、2008年に第二版(v2.0)を制定しています。
#分かりやすい解説は用語解説サイトに譲りたいと思います(^^;
- Val IT -情報マネジメント用語-(@IT)
- 知っておきたい経営用語:Val ITとは(ITPro)
国内では、ITGI Japanが翻訳版を出しており、第二版(v2.0)は今年2月からITGIのWebサイトで公開されています。
- VAL IT Framework Version 2 日本語版(ITGI Japan)
ちなみに・・・Val IT2.0の原文を読みたい方は、コチラ。
ガイドラインの内容は、全6章、計118頁とボリュームがありますが、IT投資マネジメントに係わる実務者が着目すべき(と個人的に捉えている)部分は、4章~6章になると思います。
- 企業価値: 総合的/実践的アプローチの必要性
- Val IT フレームワークとは何か
- 主な用語、原則、ドメイン
- Val IT プロセス
- Val IT プロセスと重要な管理施策の詳細説明
- 部門の説明責任と実行責任
Val ITではプロセスをVG(価値ガバナンス)、PM(ポートフォリオ管理)、IM(投資管理)の3つのドメイン(領域)に大別しており、各ドメインで対応すべき内容について、「インプット」、「アウトプット」、「アクティビティ」、「役割」、「達成目標」、「測定指標」を具体的に定義してある点が、非常に参考になります。
なお、3つのドメインの「目的」について、ガイドラインの一部を引用すると、
VG:バリューマネジメント手順が企業内に確実に組み込まれ、経済的ライフサイクル全体を通じて、IT 関連の投資から最適な価値を確実に創出できるようにすること
PM:IT 関連の投資のポートフォリオを通じて、企業が最適な価値を確実に創出できるようにすること
IM:企業の個々のIT 関連の投資が、最適な価値に確実に貢献できるようにすること
と定義されていますが、各ドメインで纏められている内容を大雑把に表現するなら、
- VG:IT投資価値の最大化のための体制、制度
- PM:案件一覧の作成と案件選択の方法
- IM:各ITプロジェクト(=プログラム)の開始~終了までの一連のライフサイクル管理
という感じでしょうか(^^)
グローバルスタンダードと言われるだけあって、今まで紹介してきた他のガイドラインと比べても、遜色のない非常に充実した内容になっていますが、一方で下記の3点は念頭に置いておかないと、実務者にとってはツライかな?とも思います(^^;
- 各プロセスを事細かに定義し過ぎている?
→詳細であるのは悪いことではないのですが、このガイドライン全てに沿う形で実務を進めるのは(時間/体制の制約条件的に)かなりキツイかも。。。 - 当たり前のことも・・・当たり前にしっかり書いてある?
→特に何が重要か?という観点で、ポイントを絞ることが逆に難しい。。。 - COBITを採用していない企業にとっては、COBITとの整合性が強過ぎる?
→結果的に定義内容が重複しているものも見受けられる。。。
踏み込んだ内容は、公開されているガイドラインを見て頂くのが一番かな?とも思いますが、最後に活用法について、私の考えをコメントすると・・・
Val ITのフレームワークは、各ドメインの定義に従って全てのアクティビティを一つ一つ対応付けて進めるような正しい使い方をするよりも、(あくまで「ベストプラクティス」と位置付け)現状把握&モニタリングのガイドラインとして、(現状のIT投資管理で何が出来ていて、何が出来ていない?)をチェックするような割り切った使い方、アプローチの方が適しているのでは?と捉えています(^^;
Val ITを実践的に活用している方で、「上記の考え方ではアカン!」という方がいらっしゃれば、是非コメント下さいm(_ _)m
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