2014年9月30日火曜日

データ視点のIT資産価値評価の検討

河田です。
前月の投稿「IT投資管理視点でみるビックデータ活用の課題」に関係するテーマについて、今月上旬に浜名湖フォーラム(旧カリアック会議)で発表しましたので、今回その話について少しご紹介します。

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浜名湖フォーラムについては、昨年8月にもこのBlog上で紹介していますが
  • 一般社団法人 経営情報学会 中小企業のIT経営研究部会
  • 一般社団法人 クラウドサービス推進機構
  • 特定非営利活動法人 ITコーディネータ協会
3者合同の研究合宿で、様々な分野の専門家、有識者、経営者の方々が集まり、肩書きや立場に関係なく議論するというオープンな形式のフォーラムです。

私は、今年度から新たに取り組んでいるIT資産価値研究会のメンバーの一人として、「IT資産価値の多面的な評価の枠組み」について、発表しました。



今回の発表の前提となる課題認識は、
企業活動に関わるデータの増加、重要性の高まりに比して、企業が取り扱うデータ、企業情報システムにおけるデータの資産性、価値評価の検討は十分になされているとは言えない。
また近年、データ(特に分析)に着目した研究は数多くあるが、それらの多くはマーケティング分野のみ、若しくはビッグデータのみに集中している。
企業に眠っているデータに着目し、データのIT資産価値評価を検討する。


というものでしたが、
今回の発表を通して、下記の4点をお話しました。
  • データの重要性、環境変化(データの増大、技術の進化)、分析による差別化/業績貢献等を考えれば、データをITリソースの一つとして資産価値評価することは重要。
  • 但し、その評価はデータ単体ではなく分析(目的、用途)とセットで、その評価対象は企業情報システムが扱うデータに絞って、企業独自の基準で考えるべき。
  • 多様性があり、システム毎に活用目的が異なるデータに対して、唯一無二の評価方法は存在しないが、データを俯瞰できる状態に(データカタログ化)し、
    - 企業独自の価値の源泉として位置付けること、
    - 品質を維持、管理すること(価値を損なわないようにすること)、
    - 複数の評価視点を組込む形でその可能性(企業独自の価値)を把握すること、
    に取り組むことは重要。
  • また、従来の企業におけるデータ分析は、主として売上拡大(特にマーケティング)ばかりが重視されてきたが、生産性向上に寄与する潜在的なデータ(既に手元にあるのに気づいていないデータ)に目を向けることも重要。

また上記を含め私が参加者の皆さんに発表を通して伝えたかった一番のポイントは、
ログデータは「見えなかったもの(できなかったこと)を見える化する(できるようにする)」、「将来の行動を予測する」ためのデータとして、活用用途を再検討する必要性がある
という点です。

まだまだ研究途上ですが、企業におけるIT資産価値の測定には多様性があり、その中でも「データ」に関する着目はもう少し踏み込んできょうつうにんしきを高められると良いな・・・と考えています。

私自身の研究としても(まだまだ途中段階ですが)ここに至るまでに、かなり迷走していた時期もあったのですが、研究会の皆さんに前向きなアドバイスを頂けた結果として、ある程度は形作るところまでに何とか至りました。ホント、感謝感謝です。

システムの価値は、会計的には減価償却的な側面しか認められていませんが、実際には多元的な価値の側面があり、また「データ」についても分析の価値は語られていても、データそのものについての議論はまだまだこれからと感じています。

事前の準備不足もあり、プレゼンは相変わらずイマイチでしたが・・・今回の発表を通して、多くの有識者の方々から貴重な指摘をもらえたことは、とても有難く、また研究の意義も含めて共感のコメントを数多く頂けたことは、とても嬉しかったです。

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浜名湖フォーラムは今回で4回目の参加となりましたが、各分野の専門の方から興味深い話がきけるので、本当に勉強になります。

主催者の皆さま、IT資産価値研究会の皆さま、そして関係者、参加者の皆さま、
本当にありがとうございました!!!

最後になりましたが、今年から複数企業の有識者の方々と共に「IT資産価値研究会」を定期的に実施しています。
ゲスト参加も大歓迎ですので、該当テーマに関心がある方は、ご一報下さい。
#結びの一文は、去年と同じです。。。

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