2010年11月25日木曜日

Val ITはITIMフレームワークの本命に?

タイトルから少し大袈裟?に入ってしまいましたが、以前このBlogで「ITGIのVal ITフレームワーク」としてご紹介していたVal ITについて、ここ数日で立て続けにインプット(参考となるWeb記事)を見かけたので、忘れないうちにメモしておきます(^^)


「Val ITによるIT投資マネジメント、5つの注意点」というタイトルながら・・・話の大半がITガバナンスの組織論の話であること、話のオチ?もリスクマネジメントに終結している点には少し違和感がありますが、バックナンバーに遡って記事を確認していくと、具体的な事例も交えてVal ITの重要さが説明されていて、参考になりました。
CA社のBlogでも同様にVal ITが取り上げられています。内容はVal ITの価値ガバナンス(VG)に着目した話が中心ですが、執筆者のスティーブ・ロメロ氏のVal ITの評価は・・・
「ITGIによる位置づけとは異なりますが、Val ITTMは、私が見てきたプロジェクト・ポートフォリオ・マネジメント手法の中で最高の部類に入ります」
ITガバナンスに主軸を置いているコンサル会社の方が執筆されていて、Val ITとは?という問いにCOBITとの関連性、相違点から分かりやすい説明があります。特に参考になった部分を引用させて頂くと・・・
「これら2つのガイドの関係を、より平易に言い換えると、ITという手段を適切かつ確実に実行・コントロールするためのCOBITを、Val ITが目標を正しく設定し結果を評価するという観点から補完する関係である、ということができます。」
「COBITおよびCOBITを取り巻くガイドラインは多数存在することから、利用者の使い勝手向上を目的として、現在、ISACAではこれらガイドラインの統合化(COBIT5.0)に向けた活動も進められています。」  

3つの記事を参照、引用してみて改めて考えたこと・・・

各々の記事内容は私なりに理解したつもりですが、正直なところ各記事を見た今でも、個人的な見解は下記から変わりはありません。
Val ITのフレームワークは、各ドメインの定義に従って全てのアクティビティを一つ一つ対応付けて進めるような正しい使い方をするよりも、あくまで「ベストプラクティス」と位置付け)現状把握&モニタリングのガイドラインとして、(現状のIT投資管理で何が出来ていて、何が出来ていない?)をチェックするような割り切った使い方、アプローチの方が適しているのでは?と捉えています(^^;
つまり、Val ITがITIMのデファクトのフレームワークとして定着する可能性を否定する気は全くありませんが、多くの企業にとってはこのフレームワークをベースに各社独自の枠組みを確立するのは恐らく難しいだろうな。。。
言葉の定義が曖昧なのですが、私の感覚的には「ガイドライン」というよりも「リファレンス」に近い位置付けで使われることになるのではないかな。。。と。


但し、広範でポイントを掴むことが難しいIT投資マネジメント分野において、海外でデファクトと呼ばれるフレームワークが国内でも広く認知され、多く活用されていくことは、該当分野に携わる一個人としても非常に嬉しい出来事と感じています。


#該当フレームワークを活用するにしろしないにしろ、議論の土台ができますしね(^^)


それにしても・・・Val ITというフレームワークを私が知ったのが数ヶ月前(他のフレームワークに比べれば知名度はそれ程高くない、、、はず?)なのに、ここ数日で上記の記事を立て続けに見つけたのは不思議です。


「Val IT」というKeywordでこのサイトを訪問してくれた人も少なからずいらっしゃるようですし、ITIMフレームワークの「本命」になるかどうかは別にして、「Val IT」の知名度が高まっているのは間違いないようです( ̄ー ̄)

2010年11月18日木曜日

CA Clarity PPM

同僚との会話の中で、「そう言えば、メジャーなPPM製品なのに何故CA製品のことは書かないの?」という質問を受け、気付きました。。。「既に書いたつもりで、忘れていた」ことを。。。(^^;


ということで、今回はCA社のClarity PPMについて、簡単にメモしておきたいと思います。

残念ながら私自身が該当製品を導入した経験が無く、デモサイトも無いので、Webセミナーの情報+資料をベースとした推測込みの偏った?情報になりますが、簡単にポイントを紹介すると・・・

  • 複数のモジュールを組合わせる構成で、多くの管理機能を持つ→プロジェクト/プログラム管理は勿論のこと、財務管理やコラボレーション機能、他ツール連携等、多機能
  • USのFortune500社のトップ100社の内63社が採用する等、実績が豊富→グローバルで1000社以上の導入実績、Gartner Magic Quadrantでも2002年から9年連続でLeaders評価(参考:PPM製品の動向&市場」)
  • オンプレミス、ホスティング、SaaSと様々な導入形態に対応
  • ベストプラクティスを製品に組み込んだ「PMO Accelerator」機能がある
  • 用途を絞ったオプション機能がある
    - IT Governance Option:ITプロジェクトのガバナンス機能を強化
    - New Product Development Option:製品開発の管理機能を強化
    - Enterprise Visibility Option:直接利用しないユーザー向けの情報共有を強化
  • 価格はSaaSモデルで¥5,184,000円/年(50ユーザ)~

とここまで書いてみたものの、豊富と言われても肝心の機能面はイメージしづらいですよね。。。
と思っていたら、日本CAと販売提携しているNS-SOLのWebサイトにClarityの機能を俯瞰できる図を見つけました(^^)v

Clarityのモジュール構成
<出典:PPMソリューション(NS Solutions)>

次に、私が感じた残念な部分をコメントしておくと、
  • プロジェクト現場の情報入力を含めたボトムアップ型の管理という面には弱い(ように見える)
  • サービスライセンスが限定的で、部分導入はし難い
という2点が挙げられます。
自分自身が実際に使ってみる or ベンダーの担当者と具体的に話せば、もう少し見えてくる部分もあるとは思いますが・・・現時点ではまだ上辺だけの情報ですね(^^;
ちょっと情報不足だなーと思っていたら、CA社の導入事例紹介に、知人がPMOの仕事をしていた企業の事例がありました。今度具体的に聞いておきたいと思います(^^)



なお、製品そのものの話ではありませんが、日本CAは国内でPPMを展開している企業の中で最も情報発信(マーケティング活動とも言う???)に積極的で、様々なレポートを公開している点は、好感が持てますね。

中でも下記のレポートは、PPMの理解を深めるだけでなく、IT投資マネジメントの読み物としても参考になると思うので、オススメです。


最後に・・・冒頭の私の「健忘症対策」も兼ねて???、「製品&ツール」ページもアップデートしたので、興味がある方はご覧下さい(^^)v



2010年11月10日水曜日

CIOからのメッセージ

このBlogでは私が担当している仕事(案件)に直接関わる話は避けていましたが、先日ご訪問した上場企業M社のCIOの方のコメントが非常に印象的、というか考えさせられる内容だったので、私の備忘録も兼ねてご紹介しておきます。

打合せの趣旨は「IT投資の可視化」に関する意見交換で、課題認識~基本的な考え方~具体的なアプローチ方法を一通りお話したのですが、説明後に頂いたコメントを要約すると、

  • 説明は良く分かったし、課題認識や具体的なアプローチも、その通りだと思う。
  • 但し、前提となる環境(=BSCのような定量的な管理手法そのものに対して受け入れる素地)が整っていない企業が、国内にはまだまだ多いことへの配慮が必要。
  • 定量的なマネジメント手法が企業文化として定着していない企業にとっては、「投資マネジメント」の重要さへの理解を得られても、具体的なアクションには結びつきにくい。
  • 可視化は・・・既得権益がある人には受け入れられない。
  • 投資マネジメントの重要性はITに限った話ではなく、企業のコアとなる事業領域で定量的なマネジメントの仕組み=投資の意思決定~管理のスキームが無ければ、IT分野だけで投資マネジメントを取組んでも、定着化は難しい。
  • 潜在的なニーズは多いので、あとはどうやって顕在化させる(必要性を具体的に認識させることができる)かが重要。

書き連ねてみると、「当たり前」の話ばかりですが、今までは明確に(IT投資の可視化の)ニーズを持っているクライアントと接する機会が多かったので、私にとっては目からウロコでした。

特定分野を追いかけていると、ついつい視野が狭くなりがちですが、改めてベースとなる考え方の重要性「何のためのIT投資マネジメント?」を、そして「当たり前の話」の深さを改めて気付くことができました。

ちなみに、上記は読み方次第では厳しいメッセージに見えるかもしれませんが、非常に気さくで懐の広い方だったので、打合せはとても和やかに、(私の勘違いでなければ、、、息子を諭すかのように)温かいメッセージも多く頂きましたよ(^^)
#初めてのご訪問で、上場企業の役員の方だったので、私はかなり緊張しましたが。。。

最後は継続的なマネジメントの重要性の話から、カルビーの品質管理の凄さの話題(カルビーは降雨量や気温からジャガイモの品質を算出)で話も盛り上がり、非常に有意義な打合せでした。

実は上記以外にも、ビジネス的に有効なアプローチ、考え方等を色々とアドバイスを頂いたのですが、その話は企業秘密ということで(^^;


2010年11月2日火曜日

アプリケーション・ポートフォリオとは?

「アプリケーション・ポートフォリオ」とは・・・というKeywordで情報収集をしていたら、興味深いレポートを見つけたので、少しメモしておきます。




ITIM分野に関心がある方にとっては非常に有用なレポートだと思いますので、上記リンクから是非レポートを参照して頂きたいのですが、以下に私が気になった点(レポートの論点?)を簡単にご紹介しておきます。


  • 多くのCIOが「ITの複雑性の解消」を優先課題に挙げている
  • ITコストの削減手段として、「アプリケーションの整理統合」が有効である
  • 上記の実現には「アプリケーション・ポートフォリオ管理」≒「ITアプリケーションの変革戦略」が重要である


流石と言うべきか、見事な三段論法ですね(^^)


また、説明に使われている図表が非常に分かりやすかった&参考になったので、一部を引用させて頂くと、、、


まず、「ITの複雑性」について下記グラフで説明されている「アプリケーションとソフトベンダーの氾濫に悩まされる企業の実態」は、興味深い切り口&納得感の高い定量データと思います。
 (出典:複雑化したITの問題を解消する変革戦略〈A.T.カーニー〉)


企業IT市場において、「アプリケーション支出とソフトウェアベンダー数という軸でロングテールモデルが成り立っている」と読み取れますが、確かに私がアカウントしてきたクライアントでも同じことが言えそうです(^^;


次に、アプリケーション・ポートフォリオの重要性を説明するための、下記の図表で説明されている「アプリケーション価値評価表」も、かなりイケてます。
(出典:複雑化したITの問題を解消する変革戦略〈A.T.カーニー〉)

複雑化したITを象徴するはずの?アプリケーションの集合が、「ビジネス上の価値」、「機能的状態」、「技術的状態」の3軸で見事に整理・分類されていますね。

冒頭に書いたように、元々は「アプリケーション・ポートフォリオ」という聞き慣れない言葉が気になって(プロジェクト・ポートフォリオと何が違う?)、調べている課程で偶然出会ったレポートでしたが、想定外に得られたものは大きかったです(^^)

結論として言葉の意味は・・・「アプリケーション・ポートフォリオ」と「プロジェクト・ポートフォリオ」に明確な違いは無く、ほぼ同じことを指していることも分かりました。

私が調べた限りでは、上記の違いは・・・
  • 切り口をプロジェクトとするか、アプリケーションとするかの違い
    →主張する際の主語として(プロジェクト/アプリケーションの)どちらを選ぶかに依存
  • 会社によって使う言葉を選んでいる
    →競合他社との差別化に際し、どちらを選ぶかに依存
という感じでした(^^;
もし、、、「明確な違いがある」という情報をお持ちの方がいれば、是非教えて下さい m(_ _)m