2010年10月26日火曜日

CA Expo ’10に参加しました

先日10/15(金)に、情報収集のためにCA Technologies社のプライベートカンファレンス「CA Expo '10」に参加してきました。
仕事も佳境に入りつつあるため、丸一日の予定を空けるのは苦労しましたが、PPMをテーマにした講演を聞ける機会はあまり多くは無い&セミナーでしか得られない情報も多いので。。。(^^;


複雑化した現在のIT環境の最適化やセキュリティを確保しながら、どのように正しいIT投資判断を実現するのかといった課題に対するヒントを提供」というテーマに釣られての参加でしたが、結論から言えば、非常に収穫の多いカンファレンスでした。


残念ながら一部のセッションは既に知っている情報でしたし、CAのPPMの話はもう少し具体的に聞きたかった・・・というのがホンネですが、下記2つのセッションは非常に参考に・・・というか、勉強になりました。

  • 「特別講演」クラウド時代の本質と意味合い(マッキンゼー 萩平氏)
  • IT経営実現に向けた、見える化・共有化・柔軟化(NTTデータ経営研究所 三谷氏) 


私の拙い表現では正しく紹介する自信が無いので、興味を持った方は別途どこかのセミナーにて?両氏の講演を聞いて欲しいのですが、私の知識・経験の延長線上で非常に共感できた話を一部ご紹介すると、、、

萩平氏の講演から・・・
  • 国内のクラウド動向として、SaaSは準大企業(100億~1000億)がクラウドに対して関心が一番高い(具体的に導入済み or 導入検討中)
  • PaaSが中長期で一番の注目、業界の雄が先行して業種PaaSを作り始めている
  • 今後、3段階の深化で世界をリードすべき(ハイブリッド→業種クラウド→社会クラウド)
  • 業種クラウド:複数の同業他社が、コモディティ業務を中心にクラウドで連携
    →コンビニ、流通で言えばPOS周り、金融で言えばフロント周り、チャネル周り(対象は差別化業務か否か)
    →業務改革(差別化業務とコモディティ業務の篩分け)と、コモディティ業務のBPR(整流化・効率化、人員再配置・スキル移行、経営視点の業務設計)がポイント
  • 企業は飽和する日本市場で縮小均衡に陥るのではなく、世界に先駆けて新たな社会と市場を創出し、世界に展開していく、気概が必要

三谷氏の講演から・・・
  • IT投資額の伸びで見れば、日本はIT先進国と言える状況には無い
  • 業務の見える化+業務の共有化が、結局は業務プロセス改革に繋がる
  • IT経営をうまく実現している企業では、例外なく効果評価の仕組みを持っている(評価できないものは管理できない)
  • 日本のIT投資効果が上がらない理由として、業務定義・職務定義の視点は重要(米国:業務定義、職務定義が明確、日本:業務定義、職務定義が不明確で暗黙知、ナレッジが個人ベース、個人の職務能力平均が高い) 
    →結局、見える化・共有化があまりなされていないので、ITによる効果が上がらないと言える?
    →日本のアウトソーシング業界が中々成熟しないのも同じ理由?
  • 1980年代に米国はITを上手く使えていなかったが、2000年以降は上手くいっている、日本は逆のパターン
    →(トップの力が弱く業務・組織を変えない)日本では効率化投資は成功していたが、BPOや戦略的なIT投資の成果はあまり上がっていないのが実情

自分で書いた文章を改めて読み返してみると、、、両氏の講演で感じた凄さというか重要性が、私の文章では全く伝わらないですね。。。orz
しかも、タイトルとの関係性が薄い&IT投資マネジメントとは直接関係しないことも書いてるし(^^;

両氏の講演については、同様のテーマで講演された(と思われる)記事を見つけたので、参考までにリンクを張っておきます。

なお、三谷氏の講演は経産省(CIO戦略会議)の指針「IT経営ロードマップ」から引用して論理展開されている部分が多くありましたが、該当指針はIT投資マネジメントとの関係性も深いので、機会を改めてこのBlogでも紹介したいと思います(^^)


最後に・・・上記を含め両者の話の前提となるインプット情報そのものは、既に知っている話も少なく無かったのですが、一方で同じインプットを得られていても、導く結果(見えている結論、深さ)が大きく違っていたことには、改めて考えさせられました。
「コンサルタント」の肩書きを持つ一人として、もっと精進しなきゃ(^^;

2010年10月20日水曜日

Oracle Primavera

同僚がセミナーで情報を入手してきてくれたので、今回は主力のPPM製品の一つであるOracle Primaveraについて、少しメモしておきます。

Primaveraは、元々PPMの専業ベンダーであった米Primavera Software社の製品でしたが、2008年にOracleが買収して、現在のOracle Primaveraになっています。
#本論とは関係ないですが、Oracleの買収戦略は凄まじいですね。IT総合商社でも目指しているのかな???(^^;

Oracle Primaveraは、以前このBlogの「PPM製品の動向&市場」でもご紹介した通り、GartnerのMagic QuadrantではLeaders製品の一つと位置付けられていますが、国内では・・・あまり聞いたことが無い方も多いのでは?(少なくとも、私は名前を聞いたことがあっただけ・・・orz)


という訳で、製品概要の解説?は製品情報サイトに譲りたいと思います。
具体的な情報は、Oracle社のサイトよりも販社のITエンジニアリング社のサイトの方が圧倒的に充実してます(^^;
但し、Oracleからの製品PR資料も少しづつ見かける機会ができてきたので、数年後には状況が変わってるかもしれませんね。

実際に自分で該当製品を触っていないので、独断と偏見込みの話(私の推定含む机上論&セミナー担当者から伝え聞いた話)になりますが、簡単に紹介しておきます。

【競合他社製品との差別化要素(メリット)】

  • ユーザーインターフェース/操作性を非常に重視
    →導入企業に最も評価されている点(選定理由として挙げられる点)らしい
    →特に現場のプロジェクトメンバにおける操作性の高さはウリとのこと
  • PMBOKに準拠
    →カタログスペックとしての大きな差別化要素ですね
  • 経営レベルでの可視化が可能
    →この点は他社のPPM製品も同じでは?と思いますが、触ってないので。。。
  • 1万人規模の会社への導入実績もある
  • オフショア開発プロジェクトにも利用可能

【デメリット】
  • 他社製品(どことは言いませんが・・・)に比べて、圧倒的に情報量が少ない
    →上述の通り、現時点ではITエンジ社の情報以外では、USサイトを漁るしか無い状態

【価格】
  • 100ユーザで約600万円~(参考情報)

【導入実績】
  • グローバルで75,000社の導入実績があるが、国内では150社程度(導入事例の99%以上が海外)
  • 国内導入企業は製造業、電力、エンジニアリング、官公庁等が主
  • SIベンダーの導入事例は、インテック、みずほ情報総研、富士ゼロックス情報システム、アイネス等
  • グローバルのゼネコンでは、プログラム管理のスタンダードとして採用されているケースも多いらしい(※)
    (※)Google先生に問い合わせて見つけた参考情報「
    建設でいうと世界一のゼネコン、フランスのプイグとアメリカのベクテルはPremaveraを社内標準としていた

知名度がそれ程高くなくても?それなりに売れているのは、それだけ製品が素晴らしいのだろうか???
PPM製品は大別すると、ポートフォリオ管理機能に強い(ダッシュボード機能等に優れる)製品と、プログラム&プロジェクト管理機能に強い製品があるように感じていますが、Primaveraは後者に位置付けられると思うので、特定業種・業態でFITしやすいということなのかな?


ちなみに、セミナーの担当者の話を鵜呑みにすると…「Primavraは導入する事が決まってから提案依頼が来ていることが多い」らしいです。
いつかは使ってみたいと思うけど、残念ながら当分は使う機会は無さそうだ。。。( ̄ー ̄)


2010年10月11日月曜日

PPM取組み時のチェック項目

先週に続いて、今週もWeb記事からの紹介です。今回はCIO Onlineから。。。
先にお断りしておくと、Blog更新の手を抜いている訳ではありません。私の投稿よりも有用な情報が巷に溢れているだけです(^^;


米国の調査会社(スタンディッシュグループ)の最新の調査結果を引き合いに出し、

「プロジェクトの68%が失敗に終わっている」という残念な事実から、
「プロジェクトを成功させるためにはPPMが重要」という逆説的な訴えに繋がり、
しかし、「PPMの導入にも失敗が多くあるから注意が必要」という前振り?

という形で半ば強引に論理展開されていますが、興味深いのは「筆者の経験」に基づき紹介されている「PPM導入失敗の背景にある広く定着している“誤った”通説」です。
【通説1】PPMを実施するのはIT部門である 
【通説2】適切なツールを選べばPPMの導入は成功する
【通説3】導入当初からPPMのベスト・プラクティスに従うべき


通説に対する著者の見解(あるべき論)を読んでいくと非常に納得感があるのですが、、、逆に納得感がありすぎてちょっと違和感があります。
「あるべき論」を強調するために・・・「広く定着している誤った通説がある?」なんて、勘ぐった見方をしてしまうのは、私の人間性に問題があるのかも?( ̄ー ̄)

文章の構成の穿った見方は、さておき・・・後半に紹介されている「PPMの導入に向けたチェック項目」も、確かになーと思ったのでご紹介(引用)しておきます。

(1)現在、組織として結論を出すのに苦労している重要な意思決定事項は何か 
(2)日常的なアクセスを必要とする情報は何か 
(3)プロジェクト・ポートフォリオに関して、入手が困難で迅速な意思決定の妨げとなっている情報は何か 
(4)現在入手済みのプロジェクト最新情報で、未完のタスクやその理由を把握できているか 
(5)目標とするPPMの成熟度を達成するため、新たに全社規模のプロセスを導入する必要がある場合、その作業に深く関与する意思はあるか 

いづれの項目も「当たり前」と言ってしまえばそれまでで、目新しい内容ではないのですが、PPMの取組み開始時にこの項目をちゃんとチェックできているか?
また、この5項目を関係者が共有認識として持てているか?によって、その後の展開は大きく違ってくる気がします。
という訳で、「実践的なPPM取組み時のチェック項目」として、参考にしたいと思います。

2010年10月5日火曜日

ガートナー・ビジネスパターン・フレームワーク

IT Leadersの記事を見ていたら、IT投資効果を高めるフレームワークとして、ガートナーの「ビジネスパターン・フレームワーク」が紹介されていました。



初めて聞く言葉だったので、少し調べてみたのですが・・・結論から言えば、ガートナー(が定義した独自の)用語のようですね(^^;

IT投資を「定義済み(定型業務)」、「既知の例外への対応」、「未知の例外への対応」、「非定型業務」、「共同体の活用」の5項目に分類し、ポートフォリオとして分析するアプローチとのこと。


ガートナー・ビジネス・パターン・フレームワークが示す5つの投資指標
(出典:予兆に敏感に反応できる企業を創る 5つの視点でIT戦略を見つめ直す〈IT Leaders〉)


当然のことながら、この5項目の分類を中心にITIMを組み立てる!。。。という訳にはいかないと思いますが(※)、分析項目のオプション項目としては「面白そう」ですね。
(※)概念の良し悪しではなく、理解のしやすさの有無という意味です。
有用なアプローチの一つだと感じたので、実践でも使えるように少し考え方を理解しておきたいと思います。

なお、少なくとも私の周りでは、実際に活用されているケースは見たことはありませんが、、、「既存のフレームワークに比べて、xxxのケースにFITする」という貴重な情報をお持ちの方がいらっしゃれば、是非教えて下さい(^^)

それにしても、ガートナーは独自用語好きですね。
ビジネスパターン・フレームワークも、「ハイプサイクル」ぐらい知名度が高まってくれると、話のネタにも使いやすいんだけどな(^^)
そもそも、ビジネスパターン・フレームワークのベースとなる概念・・・PBS(パターン・ベース・ストラテジー)は、「傾向分析」ではダメなのだろうか。。。